「断面図って、どこで切ればいいの?」
平面図と立面図は描けたのに、断面図で手が止まる人はとても多いです。
切る場所が決まらない。天井の高さも分からない。講評で先生から線の太さにダメ出しが入る。
つまずくポイントが、平面図や立面図より一段多いんですよね。
僕も初めて断面図を描いたときは、手が止まりました。
どこから描けばいいのか分からない。どう表現すればいいのかも分からない。
でも安心してください。
断面図は「切る場所」と「高さの数字」さえ先に決めれば、あとは順番どおりに線を引くだけです。
この記事を読むとわかること
- – 断面図を描く前に決める「切る場所」の選び方
- – 階高・天井高など、高さの数字の出し方(足し算で分かる)
- – 断面図の書き方10ステップ(階段・窓・寸法の入れ方まで)
- – 提出前に使える、よくあるミスのチェックリスト(PDF無料配布)
この記事は図面シリーズの3本目です。
立面図がまだの人は、先にこちらを読むとスムーズです。

今回描く建物
今回も、平面図・立面図と同じ木造2階建ての家を使います。
同じ家を使うので、立面図で決めた高さの数字がそのまま使えます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造・階数 | 木造2階建て |
| 間口(東西) | 9,100(X1〜X4:3,640・2,730・2,730) |
| 奥行き(南北) | 7,280(Y1〜Y3:3,640・3,640) |
| 1階 | LDK・寝室2・浴室・洗面・トイレ・玄関ホール・階段 |
| 2階(断面に写る部分) | 南側に洋室、北側に2階ホール |
| 屋根 | 切妻屋根・4寸勾配。棟(てっぺん)はY2の真上を東西に通る |
| いちばん高いところ | 地面から約7,750 |
平面図の描き方は、こちらで手順どおりにまとめています。

完成するとこんな断面図になります。

断面図とは?立面図・矩計図との違い
断面図とは、建物を縦にスパッと切って、切り口を真横から見た図面です。
簡単に言えば「建物の中の高さ」を見せるための図です。
断面図は「建物を縦に切った切り口」
ケーキを包丁で切ると、スポンジとクリームの層が見えますよね。
断面図はそれと同じで、建物を切ると床・天井・壁・屋根の重なりが見えます。
平面図は、建物を床から1〜1.5mくらいの高さで横に切った図でした。
断面図は、その切り方を「縦」にしたものです。

断面図と立面図の違い
いちばん混ざりやすいのが、立面図との違いです。
立面図は建物の「外から見た顔」、断面図は建物の「切った中身」です。
ほかの図面も並べると、違いがはっきりします。
| 図面 | どこを見る? | 分かること | よく使う縮尺 |
|---|---|---|---|
| 立面図 | 建物の外側を真横から | 外観・窓の並び・屋根の形 | 1/100 |
| 断面図 | 建物を縦に切った切り口 | 階の高さ・天井高・部屋のつながり | 1/100 |
| 展開図 | 部屋の中から四方の壁を | 室内の壁・建具・家具の配置 | 1/50〜1/100 |
| 矩計図(かなばかりず) | 外壁まわりを細かく切った切り口 | 基礎・床・壁・屋根の材料と寸法 | 1/20〜1/50 |
矩計図は、断面図の一部を拡大して材料まで描き込んだ図面です。
課題に出ても、断面図が描けていればぐっと楽になります。
課題によっては、矩計図がいらない場合もあります。
まずは課題の概要をよく読んでみてください。
ただ、求められていなくても矩計図を添えると、説得力が増して読み手にも伝わりやすくなります。
記事に目を通しておくだけでもおすすめです。
図面どうしの関係や、描く順番はこちらでまとめる予定です。
縮尺は1/100が基本、1/50で描き込みが増える
課題の断面図は、1/100で描くことが多いです。
1/100なら、実際の1,000mmが図面上では10mmになります。
1/50になると、同じ1,000mmが20mmになります。
図が2倍大きくなる分、床や壁の厚みを2本線でていねいに描く必要があります。
縮尺ごとに何を描き込むかは、こちらで詳しくまとめる予定です。
用語解説① 高さの記号
– GL(ジーエル):地面の高さ。すべての高さの基準(0)になる
– FL(エフエル):床の高さ。1階の床なら1FL、2階の床なら2FL
– CH(シーエイチ):天井高。床から天井までの高さ
– 階高(かいだか):下の階の床から、上の階の床までの高さ
– 天井ふところ:天井の裏側のすき間。配線や配管が通る
1/100と1/50を行き来するときは、三角スケールで読み替えるのが一番確実です。
描く前に決めること① どこで切るか
断面図でいちばん大事なのは、線を引く前に「どこで切るか」を決めることです。
切る場所がいまいちだと、どれだけていねいに描いても伝わりません。
切る場所を選ぶ3つの基準
切る場所は、次の3つのどれかを通るように選びます。
- 階段:上下の階がどうつながるかが一目で分かる
- 吹き抜け:天井が高い空間の気持ちよさを見せられる
- 床や天井の高さが変わる所:段差やロフトがある所
迷ったら、まず階段を通してください。
階段は高さの変化そのものなので、断面図の見せ場になります。
僕は、いちばん見てほしい部分を通るように、切る場所を決めています。
特に複雑に設計した部分は、平面図や立面図だけでは伝わらないことがあります。
そこを見せるための図面が、断面図です。
描くのがめんどくさい気持ちは、よく分かりますが断面図があるだけで作品の説得力はぐっと増します。
今回は階段を通る南北方向で切る
この家の階段は、X2〜X3の東寄りにあります。
Y2のあたりから北へまっすぐ上る階段です。
もう1つ、屋根の向きもヒントになります。
この家の棟は東西に走っています。
棟と直角の南北方向に切ると、屋根が山形(三角形)に見えます。
屋根の勾配と高さの関係が一番よく分かるのが、この向きです。
そこで今回は、階段を通る南北方向に切ります。
図の①で階段と棟の向きを、②で切る向きによる屋根の違いを確かめてください。

平面図に切断線と矢印を書く
切る場所が決まったら、平面図に「切断線」を書き込みます。
切断線は一点鎖線(長い線と点のくり返し)で引きます。
線の両端には「A」「A’」の記号と、見る方向の矢印をつけます。
今回は西を見るので、矢印は西向きです。
切断線は、途中で曲げてもかまいません。
今回は南の大きな窓も見せたいので、LDKの中で一度東へずらしています。
- 南側は、LDKの掃き出し窓の真ん中(X2から東へ910)を通る
- Y2の手前で東へ曲がり、階段の真ん中(X3から西へ455)まで寄る
- そこから北へまっすぐ、階段とホールを通ってY3まで抜ける

描く前に決めること② 高さの数字
切る場所の次は、高さの数字です。
ここを先に決めておくと、描き始めてから迷いません。
立面図の数字をそのまま使う
立面図で決めた数字を、そのまま使います。
| 高さ | GLからの高さ |
|---|---|
| 1FL(1階の床) | +450 |
| 2FL(2階の床) | +3,350 |
| 軒高(外壁の上端) | +6,150 |
| 最高高さ(屋根のてっぺん) | 約+7,750 |
1階の階高は、3,350−450=2,900です。
2階は、軒高まで6,150−3,350=2,800あります。
屋根は4寸勾配でした。
外壁から棟までは3,640なので、3,640×0.4=1,456上がります。
屋根の厚み150を足すと1,606で、軒高6,150に足すと約7,750です。
天井高と天井ふところの内訳
断面図では、立面図になかった「天井」が出てきます。
今回は、1階・2階とも天井高を2,400にします。
1階の高さは、足し算で確かめられます。
| 1階の内訳 | 高さ |
|---|---|
| 天井高(CH) | 2,400 |
| 天井ふところ+2階の床の厚み | 500 |
| 合計=階高 | 2,900 |
2階は、天井高2,400の上に400のすき間があり、合計2,800で軒高に届きます。
天井高には、法律で決まった最低ラインがあります。
建築基準法施行令が、居室(人が長くいる部屋)の天井高を2.1m以上と決めています。
天井高2,400なら、余裕でクリアです。
用語解説② 切断面と見えがかり
– 切断面:切断線がちょうど通って、切れている部分。床・壁・屋根の切り口。太い線で描く
– 見えがかり:切断面より奥にあって、見えているだけの部分。奥の壁・扉・家具など。細い線で描く
断面図の線は、全部この2つのどちらかです。
線を引く前に「これは切れている?見えているだけ?」と考えるのがコツです。
断面図の書き方|10ステップ
ここから、A-A’断面図を順番に描いていきます。
縮尺は1/100、左が南(Y1)、右が北(Y3)です。

まず、地面の線(GL)を横に長く引きます。 建物の幅より左右に少し長めに引くと、仕上がりがきれいです。
GL線は、図面の中でいちばん太い線にします。

平面図のY1・Y2・Y3の位置を、縦の線で下ろします。 間隔は3,640ずつ、図面上では36.4mmずつです。
通り芯は一点鎖線の細い線で引き、下に丸い記号をつけます。

先ほどの表の高さで、横に薄い補助線を引きます。
- 1FL:GL+450
- 1階の天井:1FL+2,400(GL+2,850)
- 2FL:GL+3,350
- 2階の天井:2FL+2,400(GL+5,750)
- 軒高:GL+6,150
補助線は、あとで消せるくらい薄く引いておきます。

1FLの下に、基礎の立ち上がりを描きます。 基礎は、外壁の真下で地面から1FLの近くまで立ち上がるコンクリートです。
次に、1階と2階の床の厚みを2本線で描きます。 2階の床は、階段の上だけ穴があいている点に注意してください。

Y1とY3の通り芯に、外壁を描きます。 壁の厚みは、平面図と同じ厚みで描きます。
Y2には、1階・2階とも部屋を区切る壁(間仕切り壁)があります。 LDKとホール、2階の洋室とホールを分ける壁です。
切断線が通っている壁なので、どれも太い線で描きます。

屋根は、立面図と同じ考え方で描きます。
- Y2の真上、軒高+1,456の位置に棟の点を打つ
- 棟から左右の外壁の上端へ、斜めの線を引く
- その線を、外壁から600外側まで延ばす(軒の出)
- 軒先は、600×0.4=240だけ軒高より下がる
- 屋根の厚み150を、斜めの線と平行に描く
断面図では屋根も切れているので、屋根の線も太くします。

屋根の形と勾配の考え方は、こちらで詳しくまとめる予定です。
切断線が通る窓は、壁を切り欠いて描きます。 窓のある高さだけ壁の太線を止めて、ガラスの位置に細い線を入れます。
この家では、南の外壁で2か所の窓を切っています。
| 窓 | 下の端 | 上の端 |
|---|---|---|
| 1階 LDKの掃き出し窓 | 1FL(床と同じ高さ) | 1FL+2,000 |
| 2階 洋室の腰窓 | 2FL+900 | 2FL+2,000 |
窓の上の端を2,000でそろえると、立面図と同じくすっきり見えます。
ドアも同じ考え方です。 切断線が通るドアは、開口部として壁を切り欠きます。 奥に見えているだけのドアは、見えがかりとして細い線で輪郭だけ描きます。

窓の種類や高さの決め方は、別の記事でまとめる予定です。
階段は、断面図でいちばん目立つ部分です。 数字から先に決めておきましょう。
- 段数:階高2,900を14段に分ける
- 蹴上げ(1段の高さ):2,900÷14=約207
- 踏面(1段の奥行き):250
- 階段の長さ:250×13=3,250(Y2〜Y3の3,640に収まる)
住宅の階段は、法律で蹴上げ23cm以下、踏面15cm以上と決まっています。 蹴上げ約207、踏面250なら、どちらもクリアです。
描くときは、1FLから2FLまで、ギザギザの段を1段ずつ描きます。 最後の段の上が、ちょうど2FLにそろえばOKです。

階段の段数の計算や、平面図での表し方はこちらで詳しくまとめる予定です。
階段が描けたら、切断面より奥に見えるもの(見えがかり)を細い線で描きます。 奥の部屋の壁の端や、奥のドアの輪郭などです。
見えがかりは描きすぎると図がごちゃつきます。 部屋の広さが伝わる最低限にしておきましょう。
ここで、線の太さを整えます。
| 線の種類 | 太さ | 描くもの |
|---|---|---|
| 極太線 | いちばん太い | GL |
| 太線 | 太い | 切断面(床・壁・屋根の切り口) |
| 細線 | 細い | 見えがかり・寸法線・補助線 |
太さの比は、細線:太線:極太線=1:2:4です。建築製図のルール(JIS A 0150)で、この比が決められています。
切断面の内側を黒やグレーで塗ると、切れている所がさらに分かりやすくなります。 塗るかどうかは、学校や先生の指示に合わせてください。

線の種類と太さのルールは、こちらで詳しくまとめる予定です。
最後に、寸法と文字を入れます。 断面図の寸法は、横より縦(高さ)が主役です。
縦の寸法(建物の横に並べる)
- GL〜1FL:450
- 1FL〜2FL:2,900(階高)
- 2FL〜軒高:2,800
- 軒高〜最高高さ:1,606
部屋の中に入れる寸法
- 1階・2階の天井高:CH=2,400
横の寸法(下に並べる)
- Y1〜Y2:3,640、Y2〜Y3:3,640、合計7,280
部屋の名前(LDK・ホール・洋室など)は、部屋の真ん中に書きます。 図面の下には「A-A’断面図 S=1/100」と入れて完成です。

寸法線の引き方の基本は、こちらでまとめる予定です。
断面図でよくあるミス
断面図は、平面図・立面図と食い違いやすい図面です。
提出前に、次のチェックリストで確かめてください。
- 切断線の記号(A-A’)と、図面名がそろっている
- 平面図の矢印の向きと、断面図の左右が合っている
- 窓の位置と高さが、平面図・立面図と合っている
- 切断面が太線、見えがかりが細線になっている
- 天井高(CH)の寸法が、部屋ごとに入っている
- 階段の段数×蹴上げが、階高とぴったり合っている
- 屋根の勾配と最高高さが、立面図と合っている
- GLがいちばん太い線になっている
特に多いのが、矢印の向きと左右の取り違えです。
西を見る断面なら、左が南、右が北になります。
提出前に要チェック!チェックリスト無料配布
図面には沢山のことを描きます。当然、ど忘れや食い違いなどが発生しやすいです。
上記にも確認することを記載しましたが、実際に手に取って確認した方がわかりやすいと思うので、
印刷できるよう、PDFファイルを無料配布します。ぜひご活用下さい!
(私は講評会でGLを引くのを忘れて色んな先生にあーあどんまいと言われてしまいました笑)
もう1枚描くなら:B-B’断面
向きの違う断面図を2枚描く課題もあります。
その場合は、A-A’と直角の方向で切るのが基本です。(十字のように)
この家なら、B-B’はY1から北へ1,820の位置を東西に切ります。
LDKと南の寝室を通り、北を見る断面です。
B-B’は棟と同じ向きで切るので、屋根の見え方が変わります。
- A-A’:屋根が山形に切れて見える
- B-B’:屋根の斜めの面の途中を切るので、屋根は横長の帯になる
- B-B’:棟は切れずに、奥に見える線(見えがかり)になる

CADで描くなら
CADの断面図も、考え方は手描きと同じです。
違うのは、線をレイヤー(線を分けて入れておく透明なシート)で管理できる点です。
おすすめは、次のようにレイヤーを分けることです。
- 切断面(太線)
- 見えがかり(細線)
- 寸法・文字
- 通り芯・補助線
こう分けておけば、あとで線の太さをまとめて変えられます。
1本ずつ直す手間がなくなります。
JW_CADでの操作手順は、別の記事でまとめる予定です。
CADを快適に動かすパソコン選びは、こちらにまとめています。

なお、JW_CADなど一部のCADはWindows専用です。Macを使っている人は、Macの中でWindowsを動かすソフトを使う方法があります。対応環境は公式サイトで確認してから選んでください。
断面図のよくある質問(Q&A)
- 断面図は何枚描けばいいですか?
-
課題の指示が最優先です。 指示がなければ、直角の2方向(A-A’とB-B’)を描くと建物全体の高さが伝わります。
- 切断線は途中で曲げてもいいですか?
-
曲げてもOKです。 見せたい部屋や窓を通すために、切断線を段違いにずらすのはよくある方法です。 ただし、曲げた所は平面図の切断線でもはっきり分かるように描きましょう。
- 天井高はどうやって決めればいいですか?
-
住宅なら、2,400前後から考えると描きやすいです。 居室は2.1m以上という決まりがあるので、それより低くはできません。 リビングを高くしたいなど、空間の狙いがあれば変えてOKです。
- 1/100と1/50で、描き込みは変わりますか?
-
変わります。 1/100では、床や壁の厚みを2本線で描く程度で十分です。 1/50では、仕上げや下地まで描き込む課題が多いです。
- 課題で矩計図も出たらどうすればいいですか?
-
まず断面図を描いてから、外壁まわりを拡大して描き込むと進めやすいです。 断面図の高さの数字が、矩計図でもそのまま使えます。また、短計図の描き方をこの記事の最下部に記載しています。
- 断面図は英語で何と言いますか?
-
「section(セクション)」です。 図面では「SECTION A-A’」のように書きます。 ちなみに平面図は「plan」、立面図は「elevation」です。
まとめ
断面図は、描く前の2つの準備で決まります。
- どこで切るか(迷ったら階段を通す)
- 高さの数字(立面図の数字+天井高の足し算)
あとは10ステップ通りに描き、切断面と見えがかりの線を描き分ければ完成です。
平面図・立面図・断面図の3つがそろうと、建物の形がまるごと伝わります。
次は、断面図をさらに拡大して材料まで描く「矩計図」です。
図面シリーズを最初から読み直したい人は、こちらからどうぞ。


断面図をきれいに描けるようになると、意匠設計の仕事にもつながります。
意匠設計の仕事に興味がある人は、こちらも見てみてください。


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